クールヘッド&ウォームハート

最近読んだ本の中から。
 
高名な経済学者であるアルフレッド・マーシャルが
イギリス・ケンブリッジ大学の初代経済学教授に就任した際の
記念講演で語った言葉。
 
「冷静な頭脳(クールヘッド)と温かい心情(ウォームハート)を持ち、
社会的苦悩を克服するために、自らの最善の能力を
すすんでささげようとする人の数を一人でも多くしようとするのが
私の念願であります。」
 
マーシャルはその後、多くの経済学者を育てるわけであり、
経済学の発展に多く寄与したことは言うまでもない。
そして、もちろんこの言葉は経済学者に向けた言葉だ。
 
しかし、今日の社会において我々政治家も
「クールヘッド&ウォームハート」ということを重く受け止めなければならないのではないだろうか。
いずれが欠けても政治家としては失格だ。

前へすすむチカラ

先日の民主党地方自治体議員フォーラムの2日目は、
スポーツジャーナリストの二宮清純氏の記念講演があった。
 
「地域に根ざしたスポーツクラブの創設」という氏の想いに、
強く共感できるおもしろい話でもあった。
そして、この「想い」=「理念」を具体化したものこそ、
Jリーグのコンセプトでもあるという。
そんなお話の中で印象に残った言葉。
それは川渕三郎 現 日本サッカー協会キャプテンが、
Jリーグ設立に向けて奔走する会議の中で、
「時期尚早!」「前例がない!」と「できない」理由ばかりあげつらい、
抵抗する人々に向けてはなった言葉である。
 

『「時期尚早」という奴は100年経っても「時期尚早」というだろう。

「前例がない」という奴は200年経っても「前例がない」というだろう。

「時期尚早」という奴は「やる気」がないだけだが、

「僕はやる気がありません」というのは恥ずかしいので「時期尚早」と言っているだけだ。

「前例がない」という奴は「アイデア」がないだけだが、

「僕にはアイデアがありません」というのは恥ずかしいから「前例がない」と言っているだけだ。』

 
行政や政治の世界においても、
あるいは自分自身の生き方の中においても、
心に刻んでおいてよい言葉ではないだろうか。

自分を見つめる

先日、
ジョン・ウッド著
『マイクロソフトでは出会えなかった天職
        ~僕はこうして社会企業家になった』
ランダムハウス講談社、2007年
という本を読んだ。
 
著者のジョン・ウッド氏(現在43歳)は若くしてマイクロソフトのマーケティングディレクターを歴任するなど、
やり手のビジネスエリートとして活躍してこられた。
しかし、ある休暇中に訪れたネパールの山の中の学校で図書館に本がまったくない現実を目の当たりにする。
そして、その学校の校長先生に「必ず本を持って帰ってくる」という約束をしてしまう。
その後、様々な経過を経ながら、マイクロソフトを退社。
自らNPO「ルーム・トゥ・リード( room to read )」を立ち上げ、
途上国の子どもたちに「教育」という「インフラ」を届けるために活躍をされている。
 
そんな氏も、さすがにマイクロソフトを退職するかどうかはかなり迷ったようだ。
そして、自ら自問する。

きみがいなくてマイクロソフトが困るのはせいぜい1ヶ月か2ヶ月のこと。

すぐに誰かが穴を埋める。

でも、貧しい村に学校や図書館を建てる手助けをしようと思う人は誰もいない。

この仕事は誰もやっていない。きみが挑戦しなくてどうする。』

 
そうして決断をし、NPOを立ち上げた。
 
果たして自分自身、「自分にしかできない」と自信を持ってやれる仕事をしているだろうか。
 
しっかりと自分を見つめ、誇れる仕事をしていきたいと思う。
 

自治体に求められるもの

今日は民主党京都政治スクール。
講師に名古屋大学の後房雄先生をお招きした。
 
そんな話の中で、起業家のハロルド・ジェニーン氏の言葉。
ハロルド・ジェニーン氏はITT(国際電話電信会社)の元CEO。
1959年にCEOに就任後、58期(四半期ベース)連続で増益を記録した
伝説の経営者。
 
経営を3行であらわすと、

「本を読むときは、初めから終わりへと読む。

ビジネスの経営はそれとは逆だ。

終わりから始めて、そこへ到達するためにできる限りのことをするのだ。」

 
いろんなマニフェストをこれまでも見てきたが、
明確な「目標=終わり」が明らかにされているもの、
そしてそれが客観的に評価することが可能なものはあまりない。
 
もちろんマニフェストに求められていることでもあり、
今の行政運営に求められていることだと思う。

サービスマンとして

先日出席した結婚式。
新郎は某高級レストランでソムリエをされている方。
その方のご挨拶の中の言葉が妙に心に残っている。
 

『レストランで仕事をしていると同じような毎日に慣れてしまうことがある。

ただ、お客様にしてみれば、その場での食事は人生で一回きりのことかもしれない。

サービスをする側にとっては日常と変わらない同じことの繰り返しでも、

お客様にとっては「特別」な瞬間であることを決して忘れてはならない。』

 
そんなプロの姿勢に仕事の種類を問わず見習うべきことは多いと思う。